お役立ち情報
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前回、歯科衛生士の加入する健康保険や退職・転職時にそれらはどうなるのかなどを解説しました。今回は実際に退職・転職が決まったとき、それらの手続きをどのように行うのか、手続きの期限や手続きに必要なものなどを解説します。
転職前の歯科医院で、指定された健康保険(社会保険)に加入していた場合、希望すれば退職後も加入し続けることができます。本人が任意、つまり必須ではなく希望の有無によって保険の加入を継続することができるため、これを健康保険の「任意継続」と呼びます。任意継続は退職後も同じ保険に加入し続けるということですが、それでも別途手続きや保険証の切り替えが必要であるため注意しましょう。
なお保険の任意継続は、誰でも可能なわけではありません。転職前の歯科医院で、任意継続したい保険に2ヶ月以上加入していたという実績が必要になります。健康保険は就職と同時に手続きを進めるものであるため、退職前の歯科医院に2ヶ月以上勤務していれば問題無いことがほとんどでしょう。加入期間は退職日の前日を最終日として計算するため注意が必要です。
退職前の歯科医院で加入していた健康保険を任意継続する場合、以下のような手続きが必要です。
手続きの期限 | 健康保険の資格喪失日から20日以内 |
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手続きに必要なもの | 任意継続の申込書 |
手続き方法 | 任意継続したい健康保険事業者へ申込書を提出する |
任意継続の手続きは、健康保険の加入資格を失った日から20日以内に済ませる必要があります。例えば3月31日に退職(健康保険の資格を喪失)した場合、3月31日から20日以内つまり4月19日までに任意継続の手続きを済ませる必要があります。なお資格喪失日=退職日とは限らないため、余裕を持って手続きを進めましょう。
任意継続の手続きでは、それぞれの健康保険で指定された申込書を提出します。退職時に歯科医院で案内をもらえることもあれば、自身で問い合わせたりホームページから印刷したりする必要があることも。なお申込書に離職票など退職日の確認できる書類を添付すると、保険証を早く発行してもらえることがあります。退職日直後に医療機関へかかる予定があるなど、急ぎの場合は問い合わせてみましょう。
国民健康保険は「国保」とも呼ばれ、社会保険(社保)と比較されることの多い健康保険です。歯科医院で指定の健康保険が無い場合は、在職中から国民健康保険に加入することも多いです。 退職前の歯科医院で加入していた社会保険を任意継続しない場合、夫などの扶養に入るか国民健康保険に切り替えることになります。
任意継続しないで国民健康保険に切り替えるメリットは、区役所などに行けば新しい保険証を即時発行してもらえる点、所得の減少時や出産時などに保険料を減免してもらえる点などにあります。社会保険の任意継続においては、所得が減少したからと言って保険料が減免されるなどといった制度はありません。
手続きの期限 | 退職日から14日以内 |
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手続きに必要なもの | 加入していた健康保険の資格喪失証明書、国民健康保険加入の申込書、本人確認書類 |
手続き方法 | 社会保険脱退の手続きをした後、住民票のある地域の区役所などで国民健康保険への加入手続きをする |
国民健康保険は、社会保険のような事業者ではなく市区町村が執り行なっています。そのため国民健康保険へ切り替えるときは、住民票のある市役所や区役所へ行き手続きをする必要があります。国民健康保険への加入に必要な書類は地域によって異なりますが、上記の3つは必要であることが多いです。 加入していた健康保険の資格喪失証明書は、退職前に歯科医院からもらえることもあれば、自分で発行申請をしなければいけないこともあります。国民健康保険加入の申込書は、市役所や区役所で用意されています。あらかじめ市役所や区役所に問い合わせをし、必要なものを揃えてから行くとスムーズですね。
なお上記に加えてマイナンバーカードの提出を求められることもありますが、マイナンバーカードは顔写真の付いた本人確認書類にもなるものであり、申請すればすぐ受け取れるものではありません。時期によっては発行申請をした後、受け取りまでに数週間かかることも。マイナンバーの普及によってマイナンバーカードの提出を求められる機会は増えてきているため、余裕を持って発行しておくと安心です。
社会保険から国民健康保険へ切り替えるときはあらかじめ社会保険脱退の手続きが必要ですが、これは退職前に歯科医院が代わりに行なってくれることが多いです。ただ脱退後国民健康保険への加入手続きは行なってもらえません。忘れず自分で期限内に行いましょう。
例えば夫の扶養に入ると、夫の社会保険料は変わらないまま、自分は保険料を払う必要が無くなります。言い換えれば1人分の金額で2人が社会保険に加入し利用することができるため、保険料を抑えたい場合は最もおすすめの方法です。
手続きの期限 | ― |
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手続きに必要なもの | 扶養に入るための申込書、収入額の証明になる書類など |
手続き方法 | 夫の扶養に入る場合は夫に頼み、会社で手続きをしてもらう |
扶養に入る場合は、明確に「退職後◯日間までに手続きをする」と決められているわけではありません。しかし扶養に入るには収入額などいくつかの条件を満たしている必要があり、申請した後審査が行われます。そのため基本的には退職後なるべく早く手続きを行いましょう。手続きに必要なものは社会保険によって異なりますが、例えば夫の扶養に入る場合は夫が代わりに会社で手続きを行います。必要書類なども夫が会社から代わりにもらってくる必要があります。
転職先探しをしているとき、給料や休日などの条件と併せてよく見かけるのが「社会保険完備」「社保完備」という記載。どういった条件を満たすとそのように言えるのでしょうか。歯科衛生士の転職においては、以下4つの揃っている歯科医院を「社会保険完備」「社保完備」と呼ぶことが多いです。
●労災保険
●雇用保険
●歯科医師国保などの健康保険
●厚生年金
歯科医師国保は「歯科医師」と付いているものの、歯科衛生士や歯科技工士、歯科助手など歯科医療従事者全員が入ることのできる保険です。また「国保」と付いているものの、国民健康保険とは別物。各自で国民健康保険に加入するシステムの歯科医院は、「社会保険完備」「社保完備」の歯科医院とは言えません。
では逆に社会保険完備の歯科医院でないとどうなるのでしょうか。そのような記載が無い場合、歯科医師国保ではなく自分で国民健康保険に加入しなければいけない、あるいは厚生年金の制度が無く自分で国民年金に加入しなければいけないということになります。なおこの場合でも労災保険と雇用保険は用意されていることがほとんどです。
待遇や福利厚生がしっかりしているというアピールとして、「社会保険完備」と大々的に記載している歯科医院も多いでしょう。しかし必ずしも社会保険完備の歯科医院が全員にとって良い職場とは限りません。社会保険完備だと福利厚生など手厚いサポートが受けられることに間違いはありませんが、その分手取り額の少なくなる可能性があります。将来やいざというときに受け取れる金額よりも、毎月受け取る金額を重視したいという方には逆に「社会保険完備でない」歯科医院が向いているかもしれません。
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