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転職先を探しているとき、保険と合わせて見かけることの多い「年金」。年金は健康保険などと同様毎月の給料から差し引かれていることが多いですが、仕組みは理解できていますか?今回は歯科衛生士が関わる年金の仕組みやその種類などを簡単に解説します。
年金のわかりやすい例としては、老後に受け取る年金でしょう。年金制度は、働いている間に支払っていた保険料を老後に受け取ることができる・・・という仕組みではありません。例えば今あなたが支払っている年金の保険料は、現在老後を迎えている高齢者の年金に充てられています。つまり年金制度は将来の自分のための貯金ではなく、同じ時代を生きる世代間で支え合う仕組みと言えるでしょう。
年金制度の構造は、よく「2階建て」と例えられます。これは2階建ての1階部分に国民年金、それに上乗せする形で2階部分の厚生年金や国民年金基金があるからです。国民年金、厚生年金、国民年金基金とは何なのか、それぞれ詳しく解説します。
国民年金とは、日本国内に住む20〜59歳の人全てが加入しなければいけない制度です。国民年金は年金制度の基礎と言える部分でもあるため、「基礎年金」と呼ばれることもあります。転職先としてどの歯科医院を選んでも、この国民年金の部分に変化はありません。
国民年金に加入すると、当然保険料の支払いが必要になります。国民年金の保険料は毎年見直しが行われた上で決められています。
≪例≫2021年度の国民年金の保険料
月額:16,610円
年間:199,320円
収入額や働いている状況、働き方などに関係無く毎月この金額を納める必要があります。なお毎月支払うのではなく、1年間分あるいは2年間分の保険料を初めにまとめて納めると、割引が適用され支出を抑えられます。
加えて、国民年金には免除制度などがあります。例えば失業により前の年より収入が大幅に減った場合や出産前後の数ヶ月間など、保険料の支払いが難しくなったときに保険料の納付を免除される(納付しなくて良くなる)ことがあります。保険料が全額免除されることもあれば、一部免除であったり納付時期を先送りにしてもらえたりすることも。いずれにしろ手続きが必要で、手続きをしないでいると保険料を支払っていないと見なされてしまい老後などに年金を受け取ることができません。
厚生年金とは、歯科医院や企業で働く歯科衛生士が対象となる年金制度です。フリーランスの歯科衛生士は対象となりません。院長を除くスタッフが一定数を超えると、歯科医院は厚生年金に加入する義務があります。そのため転職先に厚生年金が導入されているかどうかは、歯科医院の規模を見れば把握できるでしょう。
厚生年金は国民年金に上乗せされる形で構成されています。会社員や歯科医院で働く歯科衛生士は、国民年金の保険料と合わせて厚生年金の保険料も納付することになり、年金の支払いに関する負担は大きくなります。しかしその分、老後など年金を受け取る側になったときに、国民年金だけを支払ってきた人よりも多くの年金を受け取ることができます。
国民年金の保険料は毎月一定ですが、厚生年金の保険料はその月の給料額によって変動します。
なお厚生年金では歯科医院や企業側が半額を負担しており、例えば給料明細に「厚生年金保険料 25000円」と書かれていても、実際は50000円の納付をしていることになります。保険料の算出には通勤手当などさまざまな項目が関わってくるため、基本給が同じであってもスタッフによって保険料が異なることも。また4〜6月の給料額を元に計算されるため、例えば4〜6月にいつもより多く残業した場合は保険料の負担を多く感じるかもしれません。
厚生年金においても、出産前後や育休中など勤務しなかった期間においては保険料の納付を免除されます。国民年金と同様、手続きが必要であるため忘れずに行いましょう。
国民年金基金は、特定の歯科医院に勤めないフリーランスの歯科衛生士や、1つの歯科医院に勤めていても歯科医院が厚生年金に加入していない場合などに対象となります。自営業やフリーランスの場合、厚生年金が無く国民年金のみであるため将来的な不安を感じる方もいるでしょう。国民年金基金は「自営業・フリーランスのための厚生年金」のようなもので、加入は必須ではなく任意です。なお「歯科医師国保」のように、歯科医療従事者向けの「歯科医師国民年金基金」もありますが、一般的な国民年金基金と内容は変わりません。ゆえに両方に加入するなどといったことはできません。
国民年金基金の保険料は、加入時の年齢や性別によって異なります。日本国内に住む20〜59歳であり、条件を満たせば加入することができます。厚生年金の代わりとなるものなので、歯科医院や企業で厚生年金が適用されている場合は加入することができません。また基礎部分である国民年金の支払いを免除されていたり、猶予制度により納付時期を先延ばしにしていたりする場合も加入することができません。
「社会保険完備」「社保完備」と書かれた歯科医院は、以下の4つの揃っている歯科医院のことを言います。
●雇用保険
●健康保険
●厚生年金
「社保完備」と書かれていなくても、厚生年金制度の導入されている歯科医院は多くあります。ただ転職先の条件として厚生年金の有無を求める場合は、「社保完備」で検索するとスムーズです。
厚生年金に加入している歯科医院だと、手取り額は少なくなってしまいます。しかしその分老後など将来受け取れる年金額は多くなります。逆に厚生年金に加入していない歯科医院だと手取り額は比較的多くなります。厚生年金に加入していないからといって、将来が必ず不安かというとそうではありません。厚生年金以外にも、先述の国民年金基金やiDeCo(個人型確定拠出年金) などといった選択肢もあるからです。
※iDeCoとは
自分で支払う金額を決定し、資産運用しながら将来に備える方法です。単なる貯金と違い、iDeCoに使ったお金は原則60歳まで引き出すことができません。
支払う金額は月5000円から自由に決めることができ、上限額は労働状況によって異なります。少額から気軽に始めることができ、上手く運用すれば支払った金額よりも将来受け取る金額を多くすることができます。逆に言えば、運用が上手くいかなければ支払った金額よりも残る金額が少なくなることもあります。60歳まで引き出せないため、収入や貯蓄額と合わせて検討すると良いでしょう。
超高齢社会と呼ばれる日本では、総人口のおよそ3割が高齢者であるとされています。年金を受け取る高齢者が増えていくにつれて、年金の保険料を支払う側の負担も増えていくのは当然のこと。そのため年金を受け取ることができる年齢を引き上げるなど、国はさまざまな工夫を凝らしています。いずれにせよ国民年金への加入は義務であり、正当な理由が無い限り支払いを逃れることはできません。年金の制度をしっかり理解した上で、転職先を選べると良いですね。
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