お役立ち情報
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歯科衛生士の職業をしている方で、腱鞘炎に悩まされている人は多いのではないでしょうか。歯科衛生士や歯科医師のような、指や手首を使う仕事をしている方の職業病として挙げられるものの1つとして、腱鞘炎があります。腱鞘炎が悪化すると病状が全身に広がり、肩こりや頭痛、手や手首が動かせなくなるなどの症状を引き起こす可能性があります。今回はそんな腱鞘炎の原因や予防方法について、詳しく解説していきます。
腱鞘炎とは、指や手首の使いすぎで手にある腱鞘という組織が炎症を起こし、痛みなどを引き起こす病気です。
人間の手の骨を動かすために、筋肉と骨を結び付けているものを「腱」といいます。
この腱は、手首から指先にかけて紐のような組織です。
腱が動くことで、指を曲げたり伸ばしたりができます。
この腱が動くときに、骨から離れないようにする働きをしているのが「腱鞘」です。
腱鞘はバンドのような組織で腱を押さえていますが、この腱鞘が炎症を起こすことで腱鞘炎になり、痛みが発生します。
なぜ腱と腱鞘が炎症を起こし「腱鞘炎」を発症してしまうのでしょうか。
主な原因は、指や手首を早く動かしたり、無理な体勢で長時間負担をかけ続けることです。
腱に負担がかかり、腱と腱鞘が擦れ合うスピードが早くなることで炎症が起き、組織が厚くなっていき症状は悪化していきます。
歯科衛生士の業務内容は、大きく分けて3つあります。
この3つの業務は、歯科衛生士の独占業務と呼ばれるものです。
この3つの独占業務に分けて、手指に負担のかかりやすい業務を見ていきましょう。
歯科診療補助の主な業務は、歯科医師の補助業務です。
患者さんの診療しているユニットの横などで業務を行います。
バキューム操作による補助業務においては、患者さんの唾液や血液、歯を切削した粉塵を吸い取るため、精密な動きが要求されます。
それにより、手首や指の微妙な角度を駆使して行わなければいけなくなることで、負担がかかるのではないでしょうか。
またバキューム操作する際に、患者さんの診療の内容によって、長時間同じ姿勢でいなければならないことも。
この際に無理な体勢を続けていると、さらに手指に負担がかかり、腱鞘炎に発展してしまう場合があります。
他にも、ユニットの横で行われる銀歯や差し歯を付けるための接着剤(センメント)をスパチュラと練板を用いて練る業務や、歯の型を採るための印象材(アルジネート)をラバーカップとスパチュラで練る作業があります。
これら作業は、セメントや印象材が時間とともに硬化してくるため、かなりのスピードで手首や指を動かすことが求められます。
いずれの作業も1度や2度連続で続けたとしても、なにも問題はないのですが、何度も連続で続くとかなり手指に負担がかかり、かなり痛くなります。
これが毎日続くとすれば、負担がかかることが予想されます。
歯科予防処置の主な業務は、歯周病やむし歯を予防するために行う予防業務です。
主に歯に付着した歯石やバイオフィルムを除去するために、スケーリング作業を行います。
長年蓄積した分厚い歯石を取る長時間の作業や、患者さんの歯に沿って角度を変えての作業など、スケーリングは手指への負担がかなりかかります。
また歯茎の下についている歯肉縁下歯石に関しては、主にハンドスケーラーという器具を用いて除去します。
ハンドスケーラーを用いて作業する際には、歯とスケーラーの角度が重要になります。
角度を間違えると歯茎を傷つけることになるため、かなり精密な作業が求められるのです。
さらに作業に力が入ることで、腱鞘炎につながることが予想されます。
歯科保健指導とは、治療よりも予防、さらに患者さん自身がホームケアを改善することを期待し、正しい生活習慣やセルフケアを実行するための専門的な指導をすること。
診療所で行われる保健指導の業務は、患者さんへの食生活を指導するカウンセリング作業や歯磨き指導することがメインとなるため、手に負担がかかることはあまりありません。
しかし訪問診療においては、要介護者や寝たきりの人に行う訪問口腔ケアがあります。
この訪問口腔ケアでは、患者さん自身が身体を動かせないなどの場合、術者である自分自身が工夫して動かなければなりません。
そうすると手指に大きな負担がかかるでしょう。
腱鞘炎は手指の使いすぎで起こる症状であるため、使いすぎを防ぐことが1番良い予防方法です。
手が疲れてきたら手のストレッチなどをして、適度に休憩を挟むようにしましょう。
また偏った作業をすることを避け、同じような業務内容が続きそうな場合は、同じ歯科衛生士のスタッフ間で協力し業務内容を分散することも大切です。
姿勢が悪いことで、手や手首に負担がかかっていることも多くあります。
例えば、バキュームを持つ際は屈んで口腔内を覗きがちですが、両足にしっかりと体重をのせ背筋を伸ばすことで、予防の第一歩につながります。
またスケーリングの際は作業に没頭しすぎて、気づいたら腰や首が曲がった姿勢を取ってしまっているということも。
こういった場合は、拡大鏡を用いて作業するなど、姿勢が良くなるように気を付ける工夫を行ってみましょう。
歯科衛生士の仕事を続けていく以上、腱鞘炎とは強い結びつきがあるものといえるのではないでしょうか。
「腱鞘炎になってもしょうがない」と、ただ諦めるだけではなく、自分の姿勢やストレッチなどで工夫することで、腱鞘炎の軽減や予防ができます。
歯科衛生士としての腕を磨くことも大切ですが、自分の身体を労わってあげることも大切なこと。
本記事を参考に、予防できる方法を実践してみましょう。
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